「角川インターネット講座5 ネットコミュニティの設計と力」を読んだ

はてなの近藤会長(そういえば初めて会長と書いた気がする)、id:jkondoさんが監修をされた本が発売になるとご本人のFacebookで拝見していたので、Kindleで予約して読んでみました。

近藤さんもご自身のブログで紹介されています。
jkondo.hatenablog.com


感想としては、ネットコミュニティについてこれからも長期的に学びを得るための本として、とても良くまとまっている内容だと感じました。

どの章も読み応えがある内容ですが、個人的には「第二部 私たちのコミュニティはどこへ向かうのか?」の「第4章 サル学から考える人間のコミュニティの未来」のお話がとても面白かったですし、何故ネットが進化するたびに人は混乱したり反発したりしてしまうのか、また社会にきちんと繋がったネットコミュニティの活用方法についてどの視点から考えていくべきなのか、インターネットの話が殆ど無い内容の章なのに、一番ヒントをいただいたと感じています。

近藤さんもブログで書かれているのですが、この直感は正解だったと読んでみて僕も思います。

そこで、人のコミュニティとは何か?という疑問に答えて頂ける方を探す作業が始まりました。これが難航しました。一体どういう分野の方に語って頂くと、コミュニティが分かるのか、なかなか思い当たりません。社会学やネットワーク理論など、さまざまな専門分野で活躍されている方の書籍にあたりましたが、なかなかぴったりの内容に出会えませんでした。 そんな中、たまたま新潮社さんの「考える人」で、山極寿一さんの「家族ってなんだ?」という記事を目にしました。山極寿一さんは、現在京都大学の総長ですが、もともとゴリラを中心とした霊長類の研究者です。その山極さんが、数々の霊長類との対比から、「人はなぜ家族を必要とするのか」を語られていました。この記事を読んだ時に、「これだ!」と感じました。

「ネットコミュニティの設計と力」を監修させて頂きました - jkondoのはてなブログ

ネットコミュニティの歴史については、個人的には知っていることが殆どでしたが、僕と一緒に働いている後輩メンバーが、「今はオウンドメディアが流行っているから」「今はinstagramだから」とか、流行りでコミュニティを考えていくのではなく、自分たちのやり取りしたいユーザーに適した手法をきちんと考えて設計したり出来るようになって欲しいと思っていて、昔から色々な本を紹介していたのですが、これからはこの本を一冊まず読んでもらうのが良いと思ったので、会社に用意しようと思います。

またこの本はインターネットに関わっている人向けの本では有りますが、「コミュニティ」というものを運営するという事で言えば、例えば

  • 社内で自分から数百人の営業に向けて何かを発信する
  • 全社員が使用する社内ツールを作っている
  • その他双方向性があるやりとりすべて

とかも、広義に解釈すればこれもコミュニティ設計の範囲で考えることによって、仕事の質も変わっていくと思うので、ネットに関わっていない仕事の方でもおすすめできる本だと思いました。
個人的には市役所とかの職員の方に読んで欲しいです。

僕自身、ちょうど会社の運営しているサイトが新しい手法として、「コンセプトをこちらが管理し運営は他の部署の方にお願いする」方法や、今までに実践したことがない分野・手法をとるプロジェクトが増えてきたので、この本を糧に自分のコミュニティ設計力をひとつ上に持っていくことと、関わる人と共通認識としてこの本を活用していきたいと思います。